Google Ad Grantsでは、キャンペーンや広告のステータスが有効でも、広告がオークションへ参加できないことがあります。Googleは、アドグランツ広告を対象とするこの仕組みを「品質フィルタ」と説明しています。
品質フィルタは、管理画面に表示される品質スコアを基準に合否を決めるものではありません。検索が行われた時点の広告品質を使って判定します。品質スコアは、過去の実績から改善箇所を探すための診断値です。
広告ランクは、検索時点の広告品質に入札額などを加えて算出され、掲載可否と順位を決めます。品質フィルタの判定も広告ランクも検索のたびに変わるため、管理画面の数値だけでは広告が表示されない理由を判断できません。
アドグランツの広告が表示されるまで
アドグランツの広告は、有料広告より後に別途行われるオークションで掲載機会を競います。品質フィルタは、このオークションへ参加できる広告を選別します。
- 有料広告のオークションが行われる
- アドグランツの候補広告に品質フィルタが適用される
- 基準を満たした広告が別のオークションへ参加する
- 広告ランクによって掲載可否と順位が決まる
検索結果には、アドグランツの広告だけが表示される場合と、有料広告の下に表示される場合があります。有料広告の掲載状況や検索需要によって、アドグランツに残る掲載機会は変わります。
品質フィルタは何を除外するのか
品質フィルタは、アドグランツの広告品質を通常の有料広告と同じ水準に保つための仕組みです。通常のGoogle広告にも広告品質によって掲載可否が変わる仕組みはありますが、Googleが「品質フィルタ」と呼んでいるのはアドグランツ広告に適用される判定です。
判定対象は検索ごとの候補広告
品質フィルタは、候補となった広告の品質を検索ごとに判定します。同じ広告でも、検索語句や検索時の状況が変われば評価も変わります。
判定結果が示すのは、その検索に対するオークションへの参加可否です。キーワードの登録状態やアカウントの停止状態を表すものではありません。
通常の有料広告が品質基準になる
Googleは、広告が配信される国の標準広告、つまり通常の有料広告における一般的な品質水準を参考にすると説明しています。品質フィルタには、管理画面で確認できる固定の合格点がありません。
広告品質は検索が行われた時点の条件で評価されます。入札額を引き上げても、品質が基準に届かなければオークションへ参加できません。
品質フィルタが評価する三つの要素
品質フィルタの判定には、検索が行われた時点の推定クリック率と広告の関連性、ランディングページの利便性が使われます。同じ三要素は品質スコアにも表示されますが、品質フィルタが使うのは検索時点の評価です。過去の実績から算出される1から10の品質スコアそのものではありません。
推定クリック率
推定クリック率は、広告が表示された場合にクリックされる可能性です。過去のクリック率をそのまま使うのではなく、検索語句や端末など、その時点の条件に合わせて推定されます。
広告の関連性
広告の関連性は、検索した人の意図と広告が一致する度合いです。同じキーワードを含めることよりも、検索で求められている内容に広告が答えているかが重要になります。
ランディングページの利便性
ランディングページの利便性は、リンク先が検索した人にとって関連性があり、有用かを示します。広告で案内した内容を確認でき、必要な情報へ進みやすいページが求められます。
一つの要素が平均より下でも、それだけで必ず除外されるわけではありません。三つを組み合わせ、その検索に対する広告品質が判断されます。
品質スコアは何を示すのか
品質スコアは、キーワードごとの広告品質を1から10で示す診断値です。管理画面で現在の品質スコアと三つの評価要素を確認できますが、この数値が品質フィルタの合格点になるわけではありません。
三つの評価は他の広告主との比較
推定クリック率と広告の関連性、ランディングページの利便性には、それぞれ「平均より上」「平均的」「平均より下」の評価が付きます。過去90日間に同じ検索語句で広告を表示した他の広告主との比較です。品質スコアの列が横線で表示される場合は、そのキーワードと同じ検索語句に対する表示実績が不足しています。横線は品質が低いという評価ではなく、数値を算出できない状態です。
合格点ではなく改善の手掛かりとして使う
品質スコアは、広告品質のどこに改善の余地があるかを見つけるために使います。広告の関連性が低ければ、広告文が検索意図に十分応えていないと考えられます。一方、品質フィルタと広告ランクには検索時点の広告品質が使われます。過去の実績から算出された品質スコア自体は、品質フィルタの合格点や広告ランクの計算値にはなりません。
なお、品質スコアが1または2のキーワードを一時停止または削除する要件は、アドグランツのアカウント管理ポリシーに基づくものです。検索ごとに適用される品質フィルタとは別の要件です。
広告ランクは何を決めるのか
広告ランクは、広告が掲載可能かどうかを判断し、掲載できる広告の順位を決めます。検索が行われるたびに算出されるため、同じ広告でも結果は変わります。
掲載可否と掲載順位を二段階で判定する
各オークションでは、はじめに広告を掲載できるか判断するための広告ランクが算出されます。次に、掲載可能な広告同士の順位を決めるための広告ランクが算出されます。
入札単価と広告の品質に加えて、広告を掲載するための最低基準や競争状況も判断材料になります。検索した人の所在地や端末など、その時点の文脈も反映されます。サイトリンクなど、広告に追加する情報の効果も広告ランクの要素です。
広告ランクは検索のたびに変わる
検索語句が同じでも、競合する広告や検索した人の状況は一定ではありません。広告ランクは、その時点の条件を使って掲載可否と順位を判断します。
広告ランクそのものは、管理画面に固定値として表示されません。確認できるのは、表示回数や表示機会のうち実際に表示できた割合などの掲載結果です。
三つの仕組みを混同しない
これら三つは広告品質に関係しますが、使われる場面は異なります。表にすると、管理画面で確認できる範囲も区別できます。
| 仕組み | 対象 | 役割 | 管理画面で確認できること |
|---|---|---|---|
| 品質フィルタ | 検索ごとの候補広告 | アドグランツのオークションへ参加できる品質かを判定する | 合否や基準値は表示されない |
| 品質スコア | キーワード | 過去の実績から広告品質の改善箇所を診断する | 1から10の数値と三つの評価要素 |
| 広告ランク | オークションごとの広告 | 広告の掲載可否と掲載順位を決める | 数値は表示されず、掲載結果だけを確認できる |
三つのうち、管理画面で値を直接確認できるのは品質スコアです。広告が表示されないという結果だけでは、品質フィルタと広告ランクのどちらが影響したかを特定できません。品質スコアは改善箇所を考える手掛かりになりますが、品質フィルタの合否までは分かりません。
広告品質の維持には広告代理店レベルの運用知識が必要
キャンペーンが有効でも、すべての検索でその広告がオークションへ参加できるとは限りません。品質スコアが高くても、品質フィルタの通過を証明することにはなりません。表示回数が減った場合は、広告品質だけでなく検索需要や競争状況も関係します。
広告文とリンク先がともに検索意図へ応えていることが、広告品質の前提です。そのうえで、管理画面に現れる数値が何を示し、何を示さないのかを読み分けます。
こうした判断には、Google広告のオークションや品質評価を踏まえてレポートを読む専門知識が欠かせません。広告品質を継続して守るには、広告代理店レベルの運用知識が必要だと考えています。
実際に広告が表示されない場合の切り分けは、Google Ad Grantsで広告が表示されない原因と確認方法で説明しています。