Google Ad Grantsと有料広告は、どちらか一方を選ぶものではありません。Ad Grantsで活動を知る入口を増やし、必要な掲載機会を取りにくい部分へ有料広告を足す。この組み合わせが基本です。

私たちの運用では、社会課題を調べる検索と商用性の高い検索で結果が大きく変わります。前者はAd Grantsで機会を得やすく、問い合わせや求人など営利企業が競う検索は有料広告で補う場合があります。

判断するときは、助成枠を使い切ったかではなく、どの機会を取りこぼしているかを見ます。その原因が検索需要なのか、競争や期限なのかを分けると、現金の広告費を使う理由が明確になります。

大きな違いは、広告費の負担と参加するオークションです。表示される場所や利用できる配信面も同じではありません。

比較する点Google Ad Grants有料のGoogle広告
広告費月最大1万米ドル分の助成枠団体が設定した予算を支払う
オークション有料広告の後に行われる別オークション有料広告のオークションへ参加する
主な掲載先Google検索検索に加えて画像や動画の広告も選べる
担う役割活動や社会課題を調べる人との接点競争の強い検索や期限のある施策を補う

月1万米ドル分の助成枠は、同額の現金予算と同じ配信力を持つわけではありません。実際に使える金額は検索数や競争によって変わります。広告とリンク先の品質も影響します。

有料広告は費用が発生する代わりに、検索以外の配信面も選べます。金額の大小ではなく、届けたい相手がどこにいて、どの時点で接点を持つかによって使い分けます。

2つの広告アカウントは併用できる

Ad Grantsと標準の有料Google広告は、別のアカウントで同時に運用できます。Googleは、所有する2つのアカウントが互いに競合することはないと案内しています。

検索結果では、Ad Grants広告が単独で表示される場合があります。有料広告が掲載される場合は、その下に表示されます。これは同じ入札で有料広告に競り負けるのではなく、有料広告の後に別のオークションが行われるためです。

併用できるからといって、同じ検索語句を両方へそのまま入れる必要はありません。Ad Grantsで接点をつくる検索と、有料予算で確保したい検索を分けた方が、それぞれの役割を判断しやすくなります。

助成枠を優先する検索テーマ

活動や社会課題について調べる検索は、Ad Grantsを先に試したい領域です。すぐに企業の利益へ結びつきにくいテーマなら、営利企業の入札が少ないことがあります。

たとえば、課題の原因や支援方法を調べている人は、まだ特定の団体を選んでいません。疑問へ答える情報ページから活動紹介へ案内すれば、団体を知らなかった人との接点をつくれます。

私たちの運用では、クリックのおよそ8割がパソコンから生まれる案件があります。企業や団体の担当者が勤務中に調べるテーマは、掲載機会を得やすい傾向があります。

これはAd Grants全体の固定仕様ではありません。検索語句と端末別の結果を見て、自団体で同じ傾向があるかを確認します。

有料Google広告を追加すべきケース

有料広告を追加するのは、現金予算で解消したい制約が決まったときです。Ad Grantsの配信額が少ないことだけでは、追加する理由になりません。

収益事業の問い合わせや正式な採用では、営利企業と同じ検索で競います。一般消費者向けの商用検索も広告主が多く、Ad Grantsだけでは必要な掲載機会を取りにくい場合があります。

締切がある募集も有料広告を検討する場面です。助成枠は使える金額も表示回数も保証されないため、必要な期間に配信量を確保したい施策とは分けて考えます。

一枚のランディングページへ短期間で集める施策も、有料広告の方が管理しやすいことがあります。検索需要と期限が明確なら、地域と対象を限定して追加します。

有料広告で狙うキーワードの判断基準

有料の検索広告を追加するかは、入札単価では判断しません。狙いたい検索語句をAd Grantsで十分にカバーできているなら、同じ検索へ費用をかける必要はありません。

有料広告を検討するのは、営利事業に近い分野で広告主との競争が強く、Ad Grantsのオークションでは掲載機会を得られない場合です。もう一つは、団体として必ず押さえたい検索語句が決まっている場合です。

ただし、狙いたいキーワードがあるだけでは不十分です。その検索から案内するページと、問い合わせや申込みなどの完了地点まで決まっている必要があります。ここが曖昧なまま始めると、Ad Grantsで得られていた流入へ費用を重ねるだけになりかねません。

まず検索語句レポートで、狙う検索が表示されているかを確かめます。必要な掲載機会と成果を得られていれば、Ad Grantsだけで続けます。広告とリンク先を整えても不足する検索だけを、有料広告へ分けるのが基本です。

SNS・動画広告で補う場面

まだ検索されていない課題は、検索広告だけでは伝えにくいものです。この場合はAd Grantsのキーワードを広げ続けず、対象者が普段見ている配信面を選びます。

開催日が近い地域イベントを住民へ知らせるなら、地域と期間を限定したSNS広告が候補になります。活動現場を映像で伝える必要があれば、動画広告の方が内容を理解してもらいやすい場合があります。

認知を広げる広告と、寄付完了を得る広告は同じ指標で評価できません。動画の再生やサイト訪問を目的にするなら、その接点が後の相談や支援へどうつながったかを別に確認します。

成果と広告費を比較する方法

2つの広告を比べる前に、成果地点をそろえます。寄付が目的ならボタンのクリックではなく、可能な範囲で寄付完了を主要なコンバージョンにします。

Ad Grantsの管理画面に表示される費用は、団体が支払った広告費ではありません。有料広告の費用は実際の現金支出です。この2つを合算して、一つの広告費用対効果として扱うことはできません。

助成枠から得た完了数と、有料予算から得た完了数を分けて読みます。寄付金額を広告側で取得できない場合は、成立件数と金額を寄付システムの記録で照合します。

外部の寄付フォームを使っているなら、有料広告を始める前に完了まで計測できるかを確認した方が良いです。成果を三段階で確かめる方法は、Google Ad Grantsの成果を判断する方法にまとめています。

有料広告の予算配分とテスト方法

Ad Grantsと有料広告の割合に、すべての団体へ共通する正解はありません。現在の制約を有料予算で解消できるときだけ、小さく追加します。

最初に、増やしたい完了を一つ決めます。次に対象となる検索や配信面を絞り、地域と期間を決めます。リンク先も記録しておけば、何へ費用を使ったかを後から判断できます。

有料広告の開始後は、完了数が増えたかだけではなく、Ad Grantsから得ていた成果が減っていないかを見ます。同じ人へ広告を重ねただけなら、追加予算による純増とは言えません。

短期間の一件だけで結論を出す必要もありません。検索語句と成立記録を合わせて読み、予算を続ける理由が残るかを確かめます。

最初に行うのは、予算額を決めることではありません。直近28日間の検索語句と主要なコンバージョンを開き、有料広告で取りたい機会を一文で書いてみてください。その一文から、使う媒体と比較する成果を決められます。