Google Ad Grantsで「うまくいかない」と感じても、その言葉だけでは原因を特定できません。申請が終わっていない状態と、承認済みの広告が表示されない状態では、確認する画面も担当者も異なります。

アカウントへ入れない状態、ポリシーによる停止、クリック後に成果が生まれない状態も分ける必要があります。症状を一つ選んでから証拠を確認すると、関係のない設定を変更せずに済みます。

確認は五つの症状に分けると進めやすくなります。申請未完了とログイン不能は配信前の問題です。広告非表示とアカウント停止は配信段階、成果未達は配信後の問題として切り分けます。最初に見る画面を症状ごとに決め、申請条件や入札設定の詳細は必要になった段階で確認します。

失敗ではなく五つの症状に分ける

最初に、担当者が実際に見ている状態を言葉にします。「使えない」「成果がない」ではなく、次のどれに当たるかを選びます。

画面上の症状最初に確認する場所最初に分けること
申請や有効化が進まないGoogle for Nonprofitsのステータスと届いたメール団体確認かウェブサイト審査か
承認済みだがアカウントへ入れないログイン中のGoogleアカウントと10桁のお客様ID権限不足か別アカウントを開いているか
広告の表示回数がないGoogle広告のステータスと表示回数停止か配信条件・需要の問題か
停止または無効化の通知があるサービス内通知と通知メールAd GrantsだけかGoogle for Nonprofits全体か
クリックはあるが成果を確認できない主要なコンバージョンと申込・寄付の成立記録成果不足か計測不備か

一つの団体で複数の症状が同時に起きることはあります。それでも最初の修正は一つに絞ります。通知があるのにキーワードを増やすなど、症状と関係のない作業から始めないことが大切です。

申請と有効化で止まった段階を特定する

Ad Grantsの利用開始までには、Google for Nonprofitsの団体確認とAd Grantsの有効化があります。Google for Nonprofitsが承認されても、Ad Grantsが自動的に有効になるわけではありません。

まずGoogle for Nonprofitsの管理画面でステータスを確認します。Goodstackから追加情報を求めるメールが届いている場合は、団体または申請者の確認で止まっています。Ad Grantsの有効化後にウェブサイトの問題が示された場合は、広告で使うサイトの審査を確認します。

ウェブサイトの審査で止まったときは、更新記事を増やせばよいと決めつけません。通知された内容と公式のウェブサイトポリシーを照合します。団体が管理するドメインかを確かめ、使命と活動の説明を確認します。操作性とモバイル対応、HTTPSのうち該当する項目を修正します。

申請中に通常のGoogle広告アカウントを新しく作っても、有効化の代わりにはなりません。Google for Nonprofitsの管理画面から、同じ申請経路を確認します。

承認後に入れないときはアカウントを照合する

承認済みでも、別のGoogleアカウントでログインしているとAd Grantsアカウントを見つけられません。Ad Grants専用のログインページはなく、通常のGoogle広告ポータルからアクセスします。

Google公式は、承認後にアカウントへの案内と支払いプロファイルの承認に関するメールが届くと案内しています。支払いプロファイルの承認はアクセスに必要な手続きであり、団体へ広告費が請求されるという意味ではありません。受信トレイだけでなく迷惑メール等も確認します。

ログイン後は、画面右上のアカウント名と10桁のお客様IDを確認します。有料のGoogle広告アカウントも管理している場合は、アカウント切り替えでAd Grants側を選びます。

権限がない場合は、別のAd Grantsアカウントを作らず、Google for Nonprofitsの管理者権限と既存アカウントへのアクセスを確認します。サポートへ問い合わせる前に、管理者のメールアドレスと10桁のお客様IDを記録しておきます。

表示回数がない状態を停止と決めつけない

広告が自分の検索結果に出ないだけでは、アカウント停止とは判断できません。Google広告で対象期間を設定し、キャンペーンからキーワードまでのステータスと表示回数を確認します。

停止や不承認の表示がなければ、検索需要と地域を確認します。開始日と除外キーワード、入札戦略も対象です。Ad Grantsには広告品質フィルタもあり、広告とキーワード、リンク先の品質が低い場合はオークションへ参加できません。有料広告より一律に表示優先度が低いという説明だけでは原因を特定できません。

表示回数が以前より減った場合は、同じ曜日や期間と比較します。変更履歴で設定変更の日も確認します。表示シェアや入札戦略の状態を使う詳しい手順は、広告が表示されないときの記事で解説しています。

配信不足を直すために、活動と関係の薄い一般語を増やしてはいけません。Ad Grantsの広告とキーワードは、団体の使命やプログラムと関連している必要があります。表示回数ではなく、表示すべき検索かを先に判断します。

停止通知があるときは対象範囲を分ける

停止には、Ad Grantsサービスの一時的な無効化と、Google for Nonprofits全体の強制停止があります。通知の件名と管理画面を確認し、どちらが対象かを先に分けます。

Ad Grantsのポリシーでは、使命に沿うキーワードとサイト品質だけでなく、地域設定やサイトリンク広告アセットも確認対象です。月間クリック率とコンバージョン計測も確認します。作成時期に応じた入札と、プログラムのアンケートも継続要件に含まれます。

Google for Nonprofits全体では、サービスの重大なポリシー違反に加え、非営利団体としてのステータス喪失や参加資格を満たさないことも強制停止の理由になり得ます。Ad Grantsのキーワード修正だけでは解決しないため、団体資格と他の有効なサービスも確認します。

停止された場合は、サービス内通知とメールに示された違反を修正します。Ad Grantsでは他の未対応項目も確認してから、既存アカウントの再開をリクエストします。新しいアカウントを作って停止を回避しないでください。

クリック後の導線を三段階で確認する

広告にクリックがあっても寄付や申込が生まれない場合は、検索からリンク先、完了までを三段階に分けます。クリック数だけでは、制度が使えるかどうかを判断できません。

最初に検索語句を確認します。団体名や活動を探している検索でも、情報を知りたい人と寄付をしたい人では目的が違います。検索意図に合う広告文とページを用意し、関係の薄い検索は除外します。

次に、広告から開くページで求める行動が分かるかを確認します。活動紹介だけを読ませて寄付完了を求めても、その間の説明と導線が不足している場合があります。モバイルでボタンを押し、外部フォームを含めて完了まで操作します。

最後に、寄付や申込システムの成立記録を確認します。広告のクリックや寄付ページへの移動は、成立した寄付と同じではありません。完了数と実際の成立件数を分けて見ます。

計測不備を成果不足として扱わない

成果が画面に出ていなくても、実際に寄付や申込がないとは限りません。反対に、コンバージョン数が多くても、すべてのページ表示やクリックを成果にしていれば実績を過大に見せます。

Ad Grantsでは、該当するアカウントに有効なコンバージョン計測と月1回以上のコンバージョンが求められます。公式の準拠ガイドは、総クリック数と総コンバージョン数がほぼ同じ状態は想定されないと説明しています。数字が極端な場合は、成果より先に設定を確認します。

主要なコンバージョンには、寄付完了や申込完了など広告の目的に合う行動を設定します。ホームページの表示やサイト滞在時間を補助的に残す場合は、主要なコンバージョンから除外します。

テスト送信を行い、Google広告またはGA4の完了記録と、寄付・申込システムの成立記録を照合します。外部フォームを使う場合も、計測できないと決めつけません。提供されているGA4やGTM、完了ページ等の機能を確認します。

一つの症状から一つの修正を選ぶ

複数の設定を一度に変えると、どの修正が結果へ影響したか分かりません。次の順番で一つの症状を記録し、一つの修正を選びます。

  1. 管理画面に表示された文言、対象アカウント、確認日時をそのまま記録します。
  2. 申請、アクセス、配信、停止、成果のどの症状かを一つ選びます。
  3. 通知、権限、ステータス、表示実績、成立記録から、その症状を確認できる証拠を一つ残します。
  4. サイト、アカウント管理、広告運用、計測のうち、修正する担当と期限を決めます。
  5. 修正後は同じ画面と同じ期間で確認し、必要なら既存アカウントの再開をリクエストします。

最初に行うのは、キーワードを増やすことでも、新しいアカウントを作ることでもありません。直近30日間のGoogle広告を開き、サービス内通知と表示回数、主要なコンバージョンを確認してください。そのうえで、いま起きている症状を一文で記録します。