一般社団法人でも、Google Ad Grantsを利用できます。Google for Nonprofitsの日本向け参加資格にも、対象となる法人として掲載されています。
ただし、一般社団法人であれば無条件に使えるわけではありません。非営利団体としての審査があり、サービスの販売が中心のホームページでは承認されにくいこともあります。
収益事業を持つ団体では、使い始めてから期待との違いを感じるかもしれません。「無料でサービスを宣伝できる」と考える前に、団体の活動とアドグランツの相性を知っておいた方がよいかと思います。
非営利型の要件について
Google for Nonprofitsの日本向け参加資格では、以前、一般社団法人は「法人税法に定められている非営利型法人」に限ると案内されていました。ここでいう非営利型法人は、定款や役員構成などが法人税法上の要件を満たす法人のことです。Googleが独自に定めた区分ではありません。
例えば「非営利性が徹底された法人」では、剰余金を分配しないことと、解散時の残余財産を国や一定の公益的な団体へ贈与することを定款に定めます。理事が3名以上必要なのは、各理事とその親族等の理事を合わせた人数が、理事総数の3分の1以下でなければならないためです。3名そろっていても、親族同士ではこの要件を満たせない場合があります。
このほか、定款に反する行為や特定の個人・団体への特別な利益の供与がないことも要件です。「共益的活動を目的とする法人」には別の要件があるため、定款の2項目と理事数だけで非営利型に該当すると判断することはできません。
2026年7月21日に確認したGoogleの公式ページには「一般社団法人」とだけ記載され、非営利型法人に限定する表記はありませんでした。翻訳の過程で日本の法人制度に関する説明が省かれた可能性もありますが、変更理由は分かっていません。
表記が変わっていても、審査基準は変わっていない可能性があります。非営利型の要件がなくなったと考えず、申請前に自団体が該当するかを確認しておいた方がよいでしょう。
なお、政府機関や病院・医療団体、学校などは原則として対象外です。医療・教育組織の慈善事業部門などには例外があり、一般社団法人という法人格だけで参加資格が決まるわけではありません。
申請から利用開始までの流れ
まずGoogle for Nonprofitsへ申し込み、Goodstackによる団体確認を受けます。承認後にGoogle Ad Grantsの有効化を申請すると、広告に使うウェブサイトが審査されます。
| 段階 | 確認される内容 | 完了後 |
|---|---|---|
| Google for Nonprofitsの申請 | 日本の対象法人に該当し、対象外の組織ではないか | Goodstackによる団体確認へ進む |
| Goodstackによる確認 | 団体の登録・活動状況と申請者の所属 | Google for Nonprofitsの承認後、各サービスへ申請できる |
| Google Ad Grantsの有効化 | 広告に使うウェブサイトがポリシーを満たすか | アドグランツの広告アカウントを利用できる |
Google for Nonprofitsの承認は、アドグランツの広告配信開始とは別です。有効化を終えた後に、キャンペーンや広告を設定して運用を始めます。
Goodstackの団体確認で見られる内容
Goodstackは、団体が正式に登録され、非営利団体として活動しているかを確認します。申請した人がその団体に所属していることも確認するため、追加の書類を求められる場合があります。
通常はGoogle for Nonprofitsから申請すれば、必要な情報がGoodstackへ送られます。ただ、Goodstackに団体情報が登録されていなかったり、登録内容に誤りがあったりする場合は、直接申し込んで団体情報を整えた方が進めやすいことも考えられます。
登記上の法人名とホームページの団体名が違う場合も、同じ団体だと確認するのに手間がかかります。団体のドメインを使ったメールアドレスで申し込むと、申請者の所属も伝わりやすくなります。審査が進まない場合については、Goodstack登録と再申請で詳しく説明しています。
ウェブサイトの要件を満たすには
収益事業を持つ一般社団法人では、ホームページがサービスや料金の案内に偏りがちです。その状態では、非営利団体として何を目指して活動しているのかが伝わらず、審査に通りにくくなることがあります。
アドグランツでは、営利活動をウェブサイトの主な目的にすることは認められていません。有料サービスがある場合も、誰のためにどのような活動をしているのか、その事業の収益を何に使っているのかが分かる説明が必要です。
サービスの情報が多い場合は、コーポレートサイトとサービスサイトをサブドメインで分ける方法もあります。団体の紹介や活動報告はコーポレートサイトにまとめ、商品や料金の詳しい案内はサービスサイトに置く形です。サービスを探している人への案内を残しながら、団体の活動も伝えやすくなります。
分けたサービスサイトも、アドグランツのリンク先に使うなら同じウェブサイト要件を満たす必要があります。サブドメインに移すだけで、収益事業の広告を出せるようになるわけではありません。
モバイル表示やHTTPSなどの要件は、Google Ad Grantsのウェブサイト要件にまとめています。
アドグランツは収益事業の広告に向いている?
営利企業と競うサービスの集客では、アドグランツがあまり役に立たないこともあります。審査に通って広告を出せる状態になっても、思うように表示されないためです。
アドグランツの広告は、有料広告のオークション後に残った掲載機会を他の利用団体と競います。営利企業が積極的に広告を出している分野では、その機会自体が少なくなりやすい傾向があります。サービスへの申し込みを増やしたくても、狙った検索で広告を出せないことがあります。
月額1万米ドルは、アドグランツの広告オークションで使える利用枠です。同額の広告費を受け取る制度ではないため、「無料で広告を打てる」という期待だけで始めると、実際の配信量や成果に物足りなさを感じるかもしれません。
弊社では収益事業のマーケティングも支援していますが、アドグランツは非営利団体の活動を支えるための制度です。営利企業と競うキーワードで集客する必要がある場合は、有料広告の方が適していることもあります。一方、アドグランツで十分に広告を出せるなら、無理に広告費を捻出する必要はありません。
申請自体はそれほど難しくありませんが、参加資格の判断や審査後の運用で迷うこともあるかと思います。Google Ad Grantsの申請や運用でお困りのことがあれば、ご相談ください。