地域を限って活動するNPOが、Google Ad Grantsだけで地元の利用者や参加者を継続的に増やすのは難しいと考えています。当社の運用実績では、特に関東圏外のローカル施策で大きな反響を得にくい傾向があります。

分野によっては、問い合わせなどの反響が月に数件得られることもあります。ただし、安定した集客を担うほどの件数ではないため、当社では集客効率の良い広告とは評価していません。

Google広告には地域ターゲティングがあり、アドグランツのP-MAXはGoogleマップにも広告を表示できます。しかし、地域を絞って広告を出せることと、その地域に十分な検索需要があることは別の問題です。

地域のNPOでは広告の掲載機会が限られやすい

アドグランツの検索広告は、実際に検索されたときに初めて掲載機会が生まれます。市区町村や都道府県まで対象を絞ると、活動に関係する検索の母数も小さくなります。

社会課題の重要性と、その課題がGoogleで検索される回数は一致しません。地域内に支援を必要とする人がいても、団体が想定する言葉で検索されなければ、広告は表示されません。

当社の運用では、関東圏外のローカル施策は特に掲載機会を得にくい傾向があります。地域設定やキーワードだけの問題ではなく、その地域とテーマの組み合わせで検索市場自体が小さいことが、反響を増やしにくい大きな理由と考えています。

地方の検索ボリュームだけでは助成枠を活かしにくい

月額1万米ドルの助成枠があっても、地域内で検索される回数以上に広告を表示することはできません。そのため、ローカル施策では助成枠の大きさが優位性にならないことがあります。

対象地域を全国へ広げれば表示回数は増やせるかもしれません。一方で、来所や対面支援を地域内に限る団体が全国からクリックを集めても、利用や参加にはつながりません。助成枠を消化するために地域を広げると、ローカル施策としての目的が崩れます。

寄付者や活動テーマに関心がある人は、地域外にもいます。地元の利用者を増やす広告と、地域を越えて活動を知ってもらう広告では、見込める検索需要が異なります。ローカル施策が難しい場合でも、後者には別の可能性が残ります。

PCに偏る配信とローカル検索

当社の運用データでは、アドグランツのクリックのおよそ8割がPCから発生しています。これはGoogleが公開している固定仕様ではありませんが、当社が運用するアドグランツ全体で見られる傾向です。

地域の施設や相談先は、スマートフォンのGoogleマップで探されることもあります。一方、アドグランツのクリックはPCへ偏っています。この端末のずれも、地域の利用者へ届きにくい一因と考えています。

ただし、PCへの偏りだけでローカル施策の成否が決まるとは断定できません。地域ごとの検索数や競争、ホームページの情報量も結果に影響すると考えています。PC偏重の実態と活かし方は、Google Ad GrantsのクリックがPCに偏る実態と活用戦略で詳しく解説しています。

P-MAXとGoogleマップは解決策になるか

アドグランツのP-MAXは、対象となるGoogle検索枠とGoogleマップに広告を表示できます。GoogleビジネスプロフィールをGoogle広告と連携し、住所アセットを設定すると、Googleマップの掲載機会を得られます。

来店を受け付けていないオフィスでも、利用者の場所へ出向いてサービスを提供する団体はビジネスプロフィールを登録できます。非店舗型ビジネスとして登録し、プロフィールでは拠点の住所を非表示にしてサービス提供地域を設定します。オンラインだけで活動し、利用者と直接対面しない団体は対象外です。

Googleマップは、地域の施設や相談先を探す人へ広告を届けられる配信面です。ただし、Googleマップだけを配信先に選べるわけではなく、掲載や成果も保証されません。当社の運用では、P-MAXとビジネスプロフィールを連携したローカル施策で、アドグランツの助成枠をうまく活用できた事例はまだ確認できていません。

小規模な広報体制では情報の入口を増やしにくい

地域を限って活動するNPOは、少人数で運営されていることが多く、ホームページの更新まで手が回らない場面を見てきました。日々の支援や事業運営が優先されるため、オンラインの広報に十分な時間を割きにくいのが実情です。

検索広告は、検索する人の疑問に対応するページがあって初めて活かせます。団体概要と一枚の支援案内だけでは、広告の入口を増やせません。活動地域の課題や支援内容を継続して発信できるかどうかが、広告設定以上に影響することもあります。

限られた人員で継続的な情報発信まで担う負担は大きく、アドグランツは団体の広報体制との相性を見て判断する必要があります。

月に数件の反響をどう評価するか

これまで反響がなかった団体にとって、月に数件の問い合わせは、ゼロから一へ進む段階の大切な一歩になることがあります。

一方、月に数件の反響を継続的な集客の中心と捉えることはできません。広告運用とホームページの情報発信に必要な負担まで含めると、集客効率の良い広告とは評価しにくいのが当社の判断です。

ローカル施策の可能性は、助成枠の大きさよりも、地域内にどれだけ検索需要があるかで変わります。その需要に応える情報をホームページで増やせる体制があるかも、結果を左右します。

寄付者や企業、同じ社会課題に関心がある人まで対象を広げられる団体なら、アドグランツに別の役割を持たせられます。地域内の来所や参加だけが目的であれば、Googleビジネスプロフィールによる検索・マップ上の表示や地域内の広報など、検索広告以外の接点も含めて考える方が現実的です。