Google Ad Grantsの管理画面には、表示回数やクリック数、費用が並びます。しかし、これらが増えただけでは団体の成果を判断できません。寄付や相談、ボランティア登録が成立したかは別に確認します。広告上の数字と団体の成果を同じものとして扱うと、月額1万米ドル分の助成枠を使うこと自体が目的になります。

成果は三段階に分けます。最初は検索結果で生まれた接点です。次に広告経由で計測した完了があります。最後が寄付システムや申込台帳に残る成立記録です。

三つの記録は月次で照合し、差が最初に大きくなる一箇所を次の改善対象にします。寄付計測や入札設定は、その差に関係する場合に詳しく確認します。

表示やクリックは成果までの接点として見る

表示回数は広告が表示された回数、クリック数は広告が押された回数です。検索語句レポートでは、広告の表示につながった実際の検索語句を確認できます。これらは、活動を探している人と団体のページが接触したかを考える材料です。

ただし、クリック後に内容を読んだか、申込を完了したかまでは分かりません。表示回数が増えてクリックされなければ、検索語句と広告の説明が合っていない可能性があります。クリック後に完了がなければ、リンク先の内容やフォーム、計測を分けて確認します。

検索語句は社会全体の需要を示す調査結果ではありません。広告の設定や地域、検索の一致条件を通じて記録された語句です。団体の事業方針を決める根拠にする前に、広告へ設定した範囲を確認します。

コンバージョンは計測した完了を表す

Googleは、広告にとって価値があると定義した完了をコンバージョンと呼びます。例として寄付や問い合わせ、ニュースレター登録、ボランティア登録が挙げられています。Ad Grantsでは、有効で正確なコンバージョン計測が必要です。サイト滞在時間やホームページの表示は登録できますが、公式案内では「コンバージョン」列から除外するよう示されています。

団体の最終成果に近い完了を、メインのコンバージョンにします。メインはGoogle広告の「コンバージョン」列へ入り、設定した目標に応じて入札にも使用されます。資料の閲覧や寄付ページへの移動などの中間行動は、必要ならサブとして観察します。サブは通常「すべてのコンバージョン」列へ入り、モニタリングに使います。

コンバージョン数が多くても、設定した条件が緩ければ成果が増えたとは言えません。ホームページの表示や同じフォームの重複送信が混ざっていないかを確認します。Googleの公式案内も、コンバージョン率が高い場合は価値ある行動によるものか確かめるよう求めています。

団体の成立記録を実績の正にする

広告で計測した完了と、実際に成立した結果は一致しない場合があります。寄付完了ページへ到達しても、銀行振込が後日未着になることがあります。相談フォームが送信されても、対象外や重複の相談を含むかもしれません。イベント申込と当日の参加も別の記録です。

寄付では決済・支援者管理システム、相談ではCRMや対応台帳を実績の正にします。イベントは申込名簿と参加記録、ボランティアは登録後の活動記録まで分けます。Google広告は広告接点から計測された完了を確認する場所であり、団体全体の実績を確定する台帳ではありません。

個人単位で広告と成立記録を接続できない場合、広告経由の寄付額や有効相談数を推測で補いません。月単位で完了数と成立数の差を確認し、計測不備や手続き後の離脱を調べます。個人単位の接続が必要なら、CRM連携を含む追加実装の可否を別の計測案件として検討します。

三段階の記録を一つの表で並べる

月次報告では、管理画面の数字をそのまま貼るのではなく、各数字が答える疑問と限界を並べます。次の表は、寄付や相談など一つの最終成果について作ります。

段階主な記録と確認場所分かること・分からないこと
検索との接点Google広告で表示回数、クリック数、検索語句を確認広告が表示・クリックされた検索は分かる。完了や成立は分からない
計測した完了Google広告・GA4でメインのコンバージョンと率を確認設定した完了の記録は分かる。着金、有効相談、参加等の実態は分からない
団体の成立記録寄付システム・CRM・業務台帳で決済成立、着金、相談、参加等を確認業務上の成立は分かる。広告への個人単位の貢献は追加実装なしでは分からない

表示からクリック、クリックから完了、完了から成立のどこで数が減ったかを見ます。最初の段階に問題があれば検索語句と広告を確認します。完了前で減るならリンク先やフォーム、完了後で減るなら受付条件や手続きを見直します。

コンバージョン率と平均単価の意味を固定する

コンバージョン率は、コンバージョンにつながる広告操作のうち、平均でどの程度がコンバージョンになったかを表します。コンバージョンの定義を変えると率も変わるため、変更前後の数字をそのまま比較できません。月次報告には対象のコンバージョン名を残します。

平均コンバージョン単価は、費用をコンバージョン数で割った値です。Ad Grantsの管理画面に表示される費用は、団体がGoogleへ支払った現金ではなく、助成枠の使用量です。支援事業者への運用費やサイト制作費も含みません。そのため、平均コンバージョン単価を団体の資金調達費用や事業コストと同じ意味で扱わないようにします。

寄付金額を計測できない場合は、仮の金額をコンバージョン値へ入れません。Google広告では完了件数を確認し、寄付システムで実際の件数と金額を確認します。両者を分けて残せば、取得できていない金額を成果として報告する誤りを防げます。

助成枠の消化率を目標にしない

Google Ad Grantsの月額1万米ドルは利用できる上限であり、配信を保証する金額ではありません。費用が少ないときは、検索需要が少ない場合もあれば、広告が配信条件を満たしていない場合もあります。消化率だけでは原因を判断できません。

助成枠を多く使っても、団体の最終成果が増えなければ改善とは言えません。逆に、利用額が小さくても必要な相談や申込が成立しているなら、残額を使うためだけに対象を広げる必要はありません。成果を固定したうえで、検索語句とリンク先を改善します。

月次では一つの差から一つを改善する

成果確認を始める前に、数字の定義と確認担当を決めます。次の順で一枚の月次表を作ると、管理画面と現場の報告が分かれにくくなります。

  1. 寄付完了や相談受付など、今月増やす最終成果を一つ決めます。
  2. 寄付システムやCRMなど、成立件数を確定する記録と担当者を決めます。
  3. 完了を表すコンバージョンをメインにし、中間行動はサブへ分けます。
  4. 表示回数、クリック数、検索語句、メインのコンバージョン数を同じ期間で出します。
  5. Google広告の完了数と団体の成立件数を並べ、差の理由を確認します。
  6. 接点、完了、成立のうち差が最初に大きくなる一段を選び、一つだけ修正します。

最初に行うのは、月額上限を使い切るためのキーワード追加ではありません。今月の最終成果、Google広告で計測する完了、団体側で成立を確定する記録を一行に書いてください。三つを説明できれば、クリック数の増減を団体の成果へ結び付けて判断できます。