Google Workspace for Nonprofitsは、Google for Nonprofitsの承認を受けた団体が利用できる組織向けの業務基盤です。無償版では、独自ドメインのGmailと共有ドライブを利用できます。カレンダー、Meet、管理コンソールなども含まれます。

個人の無料Googleアカウントを集めた仕組みではありません。団体が管理するアカウントを職員やボランティアへ発行し、退職後もメールやファイルを組織に残せることに意味があります。

導入前には各プランの違いを確認します。次にアカウントを発行する人と管理者を決めます。退職時にデータを引き継ぐ方法も必要です。

無償版でも組織の基本機能を使える

無償のGoogle Workspace for Nonprofitsでは、団体ドメインのメールアドレスと共有ドライブを利用できます。ドキュメントの共同編集、カレンダー、ビデオ会議も含まれます。管理者は管理コンソールから、ユーザーや端末、各サービスの利用可否を管理します。

ストレージは利用者ごとの小さな枠ではなく、組織全体で100TBを共有します。ユーザー数は最大2,000人と案内されていますが、新しいアカウントで最初に追加できるのは300人までです。300人を超える場合は、Google Workspaceサポートへ上限引き上げを依頼します。

無償版のGoogle Meetは最大150人まで参加できます。共有ドライブやAppSheet Coreも含まれるため、多くの小規模・中規模NPOは無償版から始められます。

必要な機能からプランを選ぶ

Googleは無償版のほか、Business StandardとBusiness Plusを非営利団体向け価格で提供しています。Enterprise Standard・Plusにも非営利団体向け割引があります。2026年7月20日時点の公式比較は次のとおりです。

プラン非営利団体向け価格主な違い向いている団体
Google Workspace for Nonprofits0米ドル/ユーザー/月100TBを組織で共有、Meet 150人、Geminiアプリ、NotebookLM独自ドメインのメールと共有ドライブを整えたい団体
Business Standard年契約3.50米ドル、月契約4.20米ドル/ユーザー/月1人2TB、Meet録画、高度なGemini in Workspace機能会議録画やGmail・ドキュメント内のAI支援が必要な団体
Business Plus年契約6.16米ドル、月契約7.40米ドル/ユーザー/月1人5TB、Meet 500人、Vault、出席確認、高度な端末管理保存ルールや監査、端末管理が必要な団体
Enterprise Standard・Plus標準価格から70%以上の割引Meet 1,000人、Vault、DLP、データリージョンなど高度なセキュリティや法令対応を設計する団体

無償版、Business Standard、Business Plusの非営利割引は最大2,000ユーザーです。Enterpriseの割引プランには最小・最大ユーザー数の指定がありません。価格は米ドルで公開されている基準であり、最終的な契約額は申込画面で確認する必要があります。

プランは保存容量だけで決めない方が良いです。無償版の100TBは小規模団体には十分なことが多いからです。有償版を選ぶ主な理由はMeet録画やVault、端末管理、アプリ内AIといった運用要件にあります。

無償版にもGeminiとNotebookLMが含まれる

無償版では、企業向けのデータ保護が適用されるGeminiアプリとNotebookLMを利用できます。Geminiアプリは企画の下書きや要約、NotebookLMは団体が選んだ資料をもとにした確認や整理に使えます。

一方、無償版にはGmailやGoogleドキュメントのサイドパネルがありません。「文章作成サポート」やGoogle Meetの「メモを取る」といった高度なGemini in Workspace機能も対象外です。これらはBusiness Standard以上を検討する主な理由になります。NotebookLMの利用上限や高度な機能にもプラン差があります。

Googleは、WorkspaceのGeminiアプリへ送信した内容を人が確認したり、許可なくモデル学習へ使ったりしないと説明しています。ただし、団体内で閲覧権限のない個人情報を入力してよいという意味ではありません。管理者は利用者、入力してよい情報、生成物の確認方法を決めてから有効にします。

申請前に既存アカウントと管理者を確認する

導入前に、団体の独自ドメインとDNSを管理できる人を確認します。Google Workspaceを新しく作る場合は、ドメイン所有権の確認が必要になるためです。

同じドメインですでにGoogle Workspaceを契約している場合、新しい環境を重ねて作るのではなく、現在の管理者と契約プランを確認します。Google for Nonprofitsの管理者とGoogle Workspaceの管理者は別のアカウントである場合があります。Workspaceの管理コンソールには、通常は団体ドメインの管理者アカウントでログインします。

既存管理者が分からない場合は、元担当者へパスワードを聞くだけでなく、管理者アカウントの復旧手続きを行います。Googleは、ドメイン所有権と既存ユーザーを確認するための復旧方法を案内しています。

承認後にWorkspaceを有効化する

Google Workspace for Nonprofitsは、Google for Nonprofitsの承認だけでは自動的に始まりません。製品の有効化は次の順序で行います。

  1. Google for Nonprofitsへ団体の管理アカウントでログインします。
  2. 製品一覧のGoogle Workspace for Nonprofitsから「使ってみる」を選びます。
  3. 新規導入なら14日間の試用を開始し、WorkspaceとGoogle for Nonprofitsの両方でドメインを確認します。
  4. 既存のWorkspaceがある場合はドメインを入力し、表示された対象プランから選びます。
  5. 有効化後、管理コンソールでユーザー、共有ドライブ、セキュリティ設定を整えます。

Googleの現行有効化ガイドでは、審査は通常3営業日以内です。一方、試用終了後のトラブル対応ページでは3〜7営業日と案内されています。期限のある移行では余裕を持たせてください。

試用期間中にGoogle for Nonprofits側へドメインを送信しないと、試用が終了することがあります。申請を始める前にDNSの変更権限と既存Workspaceの管理者を確認しておくと、途中で止まりにくくなります。

有効化した団体は、Googleの担当者による日本語の1対1支援へ申し込める場合があります。現行のAI・生産性向上支援は2週間に最大6回です。移行やユーザー作成、管理レポート、GeminiとNotebookLMなどを相談できます。

導入のゴールは組織に情報を残すこと

Workspaceを導入しても、資料を各自のマイドライブへ保存し、共有アカウントのパスワードを回覧していては属人化を解消できません。利用者ごとにアカウントを発行し、事業資料は共有ドライブへ置きます。

管理者は少なくとも2人を決め、2段階認証と復旧手段を整えます。退職・契約終了時にはアカウントを停止し、メールとマイドライブを移管します。共有グループからの削除も同じ手順に含めます。

最初に選ぶプランより、誰がアカウントを管理し、どこへ情報を残すかを決める方が重要です。無償版で要件を満たせるなら、独自ドメインのメールと共有ドライブから整えてください。退職者のデータ移管も早い段階で手順化します。録画や保存、監査とAIの要件が明確になった段階で、有償版への変更を検討できます。