プレスリリース、公式サイト、SNSには固定した優先順位がありません。報道機関へ新しい事実を知らせるのか、利用者へ現行情報を示すのか、支援者と対話するのかで選ぶ媒体は変わります。

一つの内容を三つの媒体へ同じ文章で投稿すると、変更時にどれが正しいか分からなくなります。最初に情報の正本と更新責任者を決め、媒体ごとの役割に合わせて見出しや案内を変えます。

三つの媒体は目的から使い分ける

まず、媒体ごとに誰へ何を届けるのかを分けます。同じ発表を扱っても、公開後に確認する結果は異なります。

媒体主な役割団体が確認する完了
公式サイト現行情報と根拠を団体管理のURLで示すページ公開、申込・相談等の完了
プレスリリース報道機関が取材を判断できる新しい事実を渡す送付・掲載、取材対応、報道の発生
SNS利用者や支援者へ知らせ、反応や対話を受けるリンク遷移、返信、対象行動

同じ発表でも、完了は媒体ごとに違います。プレスリリースを配信した件数と報道された件数は分けます。SNSの表示回数と、リンク先で相談や寄付が完了した件数も同じ成果ではありません。

公式サイトを現行情報の正本にする

募集や利用条件等は、団体が更新できる公式サイトへ置きます。開催日時と活動報告も対象です。ページには発行日または更新日を示し、担当部署と問い合わせ先を添えます。変更履歴が重要なら、修正内容と修正日も残します。

GoogleはArticleの構造化データでdatePublisheddateModifiedを案内しています。これは検索結果への日付表示や掲載順位を保証するものではありません。人が読める公開日・更新日と、構造化データの値を一致させるために使います。

URLは公開後も参照できる形にします。Googleも、人と検索エンジンが理解しやすい簡潔なURL構造を推奨しています。ただし、URLを維持するだけでは内容が正しいとは限りません。終了した募集は削除だけで済ませず、終了日と代わりの案内を示すか、適切な後継ページへ転送します。

NPO法人が所轄庁へ提出する事業報告書等は、広報記事とは別の法定手続です。公式サイトやSNSの活動報告だけで代替できません。広報用の年次報告と提出書類を併用する場合も、数字と対象期間を一致させます。

プレスリリースは取材の判断材料にする

プレスリリースは、配信サービスへ掲載すること自体が目的ではありません。報道機関が「何が新しいのか」「なぜ今扱うのか」「誰に確認できるのか」を判断する資料です。発表しただけで記事化や取材が保証されるわけではありません。

新事業、調査結果、他組織との提携等は候補になります。定例活動でも、対象者や地域に新しい意味があれば発表できます。反対に、団体内だけで完結する人事や日常報告を、無理に社会的な出来事へ見せる必要はありません。

見出しと冒頭で新しい事実を示します。実施主体と日付に続けて、地域や対象者を説明します。根拠資料と公式サイトのURL、取材対応者の連絡先も必要です。写真を提供する場合は、被写体の同意と利用条件を確認します。

PRSAは広報を、組織と関係者の相互に有益な関係を築く戦略的コミュニケーションとして定義しています。メディア対応も一回の掲載獲得だけで終わりません。問い合わせへ回答できる担当者と、発表後に更新できる根拠ページを用意します。

SNSは案内と対話に使う

SNSでは、公式サイトへ来ていない人へ活動を知らせられます。現場の短い報告や質問への回答にも使えます。投稿だけで必要事項を完結させるか、公式サイトへ案内するかは、情報量と更新の可能性から決めます。

利用条件や日程が変わる情報は、公式サイトを先に更新します。そのURLをSNSで知らせれば、過去の投稿から来た人も現行ページで確認できます。緊急時にSNSを先に更新した場合も、公式ページへ同じ変更を反映し、どちらの担当者が確認したかを残します。

デジタル庁の政府向けウェブコンテンツガイドラインは、公式SNSの運用方針を公表する考え方を示しています。発信内容と書き込みへの対応に加え、利用条件も対象です。変更方針と問い合わせ先も示します。NPOに対する義務ではありませんが、複数人で公式アカウントを運用する際の確認項目として使えます。

情報の種類から公開先を決める

新しい調査結果を発表するなら、根拠資料を公式サイトへ公開します。そのうえで報道機関向けの要点をプレスリリースにし、一般の読者向けにSNSで知らせます。

継続的なボランティア募集は、条件をまとめた固定ページを正本にします。募集期間や説明会のお知らせは別ページへ置き、SNSから案内します。募集条件に社会的な新規性がなければ、プレスリリースは必須ではありません。

イベント中止や利用条件の変更は、現行ページの更新が先です。影響を受ける人へメール等で直接連絡し、SNSでも変更を知らせます。報道機関がすでに扱った内容や社会的影響が大きい変更なら、訂正資料や追加発表も検討します。

一つの事実から三つの原稿を作る

公開作業は次の順番で行います。

  1. 発表する事実、公開できない情報、承認者を決めます。
  2. 誰に何をしてほしいかと、完了地点を一つ決めます。
  3. 公式サイトへ詳細、根拠、日付、問い合わせ先を掲載します。
  4. 報道価値がある場合だけ、取材判断に必要な要点をプレスリリースにします。
  5. 対象者が利用するSNS向けに、短い案内と公式URLを作ります。
  6. 公開後の質問、修正、終了時の担当者を決めます。
  7. 媒体別の数字と、相談・参加・寄付等の成立記録を照合します。

三媒体すべてを毎回使う必要はありません。公式サイトだけで足りる更新も、SNSだけで成立する日常的な対話もあります。第三者に繰り返し参照してほしい事実は、団体が管理するページへ残してください。