非営利団体のチームは、同じ雇用関係と勤務時間でそろっていないことがあります。弊社が支援する団体では、運営を担う人が本業を持ち、兼業や業務委託で関わる例があります。拠点を持たず、打ち合わせをオンラインで行う団体もあります。

一方、支援やサービスを提供する事業現場には、雇用された職員が決まった時間に日常業務を担うチームがあります。同じ団体でも、運営を考える人と事業を実行する人では、使える時間と責任の持ち方が異なります。

体制づくりでは、全員を一つの会議や連絡ルールへそろえません。運営チームは意思決定、事業チームは業務の完了を軸に設計します。両者をつなぐ責任者と記録を決めることで、志の強さを個人の負担へ変えずに活動を続けやすくなります。

運営チームと事業チームを分けて描く

最初に分けるのは役職ではなく、団体を動かす判断と、利用者へ価値を届ける日常業務です。両方を兼ねる人がいても、役割は別に記録します。

観点運営チーム事業チーム
主な責任方向性、資金配分、外部連携、重要な方針を決める支援やサービスを決めた方法で安全に提供する
関わり方代表・理事・兼業人材・業務委託等が必要な時間に関わる雇用職員等が勤務時間と担当業務に沿って関わる
時間の使い方非同期で情報を読み、必要な判断のときに集まるシフトや営業時間に沿い、継続して引き継ぐ
必要な記録提案、決定者、決定内容、見直す条件手順、担当、進捗、完了、異常時の対応
起きやすい問題全員の合意を待つ、代表者へ判断が集中する現場だけで判断できない、勤務外の対応が常態化する

この分け方は法人制度上の組織区分ではありません。常勤の経営メンバーがいる団体も、事業を業務委託で運営する団体もあります。自団体の実態を確認するための体制図として使います。

NPO法人では、社員総会や理事会等に必要な決定を日常チームの合意で置き換えることはできません。定款変更や解散等、法令や定款で決定機関が定められている事項は正式な手続へ戻します。

運営チームは集まる回数より判断の流れを決める

兼業や業務委託で関わるメンバーは、同じ時間に集まれるとは限りません。会議を増やす前に、提案してから決定するまでの流れを固定します。

運営上の提案には、何を決めたいのかを書きます。選択肢と判断期限も必要です。最終的に決める役割と、事前に意見を聞く人を示せば、全員の返信を待たずに進められます。

志の強い人が集まると、活動の細部まで全員で考えたくなることがあります。しかし、共感していることと、すべての判断へ参加できることは別です。使える時間を確認し、責任を持つ範囲を本人と合意します。

副業・兼業で雇用される人については、本業を含む労働時間や就業規則の確認が必要になる場合があります。業務委託で関わる人とは同じ扱いにせず、契約と実態に応じて確認します。

事業チームは勤務と業務の責任をそろえる

事業チームでは、利用者への支援を予定どおり提供できることが優先されます。誰が勤務し、どこからどこまでを完了させるかを日々確認できる状態が必要です。

相談対応なら、受付から記録と引き継ぎを経て、対応が終わるまでを一つの流れにします。イベント運営では準備と当日対応に加え、参加者情報の管理と終了後の報告まで含めます。現場責任者が判断できる範囲と、運営チームへ戻す条件を先に決めます。

雇用された職員には、勤務時間と指示系統を明確にします。業務委託のメンバーには、依頼する業務と納期を明示します。検査方法や報酬等の取引条件も必要です。契約名だけで働き方は決まらないため、団体が勤務時間や具体的な手順を継続して指示する場合は、労働者性を専門家へ確認した方が良いです。

内閣府掲載のNPO組織評価資料も、有給スタッフの雇用と多様な就業形態を分けています。ボランティアには、団体の目的と仕事の内容を共有し、活動を支える体制を整える項目があります。資料は2013年度の調査に基づく診断資料であり、現在の法的な判定基準ではありません。

二つのチームを一人の善意でつながない

運営チームが決めた方針は、事業チームが実行できる条件へ変換する必要があります。現場で分かった問題も、次の運営判断へ戻さなければ改善されません。

両者をつなぐ役割には、決定内容を事業計画へ反映する責任を持たせます。事業側からは、完了件数だけでなく、予定どおり提供できなかった理由を返します。担当者が毎回変わると情報が途切れるため、一つの事業につき接続役を一人決めます。

代表者や事務局長が接続役を兼ねることもあります。その場合も、運営者として決めたのか、現場責任者として対応したのかを記録で分けます。一人の頭の中だけで両チームをつなぐ状態は、引き継ぎができません。

オンラインでは会議より先に記録を決める

オンライン中心のチームでは、参加できなかった人が後から判断の経緯を確認できることが重要です。チャットの流れを追わなくても、現在の決定と担当が分かる場所を一つ決めます。

同じ記録の中で、提案中と決定済み、実行中と完了を区別します。決定者と日付、見直す条件も残します。会議は資料の読み上げではなく、選択肢を比較して決める時間に使います。

厚生労働省のテレワークガイドラインも、労働者のテレワークではコミュニケーションへの配慮と適切な労務管理を求めています。この資料を業務委託やボランティアへ同じ法的義務として当てはめることはできませんが、オンラインで働く雇用職員の体制を確認する基準になります。

記録へのアクセス権も役割に合わせます。利用者情報や寄付者情報を全員が閲覧できる状態にせず、担当を離れた時点で権限を停止します。引き継ぎは個人のアカウントではなく、団体が管理する保存先で行います。

一つの事業で体制を作り直す

団体全体の組織図を描き直す前に、一つの事業を選びます。運営と事業の境目で判断が止まっている活動から始めると、必要な役割が見えやすくなります。

  1. 事業の対象者と、何が終われば提供完了かを一文で決めます。
  2. 運営上の判断を担う人と、日常業務を担う人を分けます。
  3. 各人が使える時間、責任、決められる範囲、引き継ぐ相手を記録します。
  4. 事業チームから運営チームへ判断を戻す条件を決めます。
  5. 提案、決定、進捗、完了を残す場所を一つにします。
  6. 四週間動かし、判断待ちと勤務外対応がどこで生じたかを確認します。

体制を見直すときは、人を増やす前に止まっている判断を探します。次に繰り返す事業について、運営チームと事業チームの担当者を分け、両者をつなぐ人を一人書き出してみてください。