寄付を成果として広告やウェブサイトを改善するには、寄付ページへ移動した人数ではなく、寄付手続きが完了した人数をコンバージョンとして計測します。寄付ボタンのクリックは寄付の開始であり、ゴールではありません。

多くのNPOでは、寄付フォームを外部の寄付システムに置いています。自団体サイトだけにアクセス解析タグを設置している場合、寄付ページへ移った後のユーザー行動を追跡することはできません。

外部の寄付ページでも、団体独自のGA4やGoogle Tag Manager(GTM)を設定できる場合があります。さらに完了ページを判別できれば、その到達数を計測できます。外部システムだから計測できないのではなく、そのサービスが団体へどこまで計測手段を開放しているかが分かれ目です。

コングラントでは、団体独自のタグと完了ページを使い、カード決済と銀行振込申込の到達数を記録できます。弊社では、非営利団体の広告運用を支援する一環として、寄付完了数をGA4やGoogle広告へ記録する計測体制の構築も支援しています。

寄付実績と寄付までの行動は分けて考える

最初に分けたいのは、実際に寄付があったという記録と、寄付に至るまでのウェブ上の行動です。前者の正はコングラントの支援履歴や決済記録であり、GA4の画面ではありません。

カード決済であれば、その場で決済まで完了することがあります。一方、銀行振込ではウェブ上で分かるのは申込までです。コングラントのGA4設定ヘルプも、カード決済の完了画面と銀行振込の申込完了画面を分け、それぞれのURLへのページビューからイベントを作成する方法を案内しています。

ここで計測できるのは完了ページの到達数であり、寄付金額ではありません。銀行振込の着金、翌月以降の継続決済、取消も初回の完了ページだけでは追えません。寄付件数と金額は寄付システムの支援履歴を正とし、GA4は流入元や閲覧経路を考えるために使う。この役割分担から始めると、数字の解釈を誤りにくくなります。

外部寄付システムでは計測できる範囲を先に確認する

寄付完了を計測する前に、寄付システム側へ団体独自の測定IDやコンテナIDを設定できるかを確認します。専用の完了URLがあるか、カード決済と銀行振込を区別できるかも必要です。

団体サイトとコングラントを同じ訪問として扱うには、両方のドメインで同じGoogleタグを動かし、クロスドメイン測定を設定します。遷移時に付くリンカーパラメータが維持されることも必要です。測定IDが見えているだけでは、同じ利用者として接続できているとは限りません。

完了URLしか提供されていない場合は、そのページビューをコンバージョンとして設定します。寄付金額や取引IDを取得できるとは限りません。サービスの機能表や古い設定例から推測せず、実際にGA4へ入るパラメータをテストした方が良いです。

コングラントでは完了ページの到達数を計測する

コングラントは、サービス側の共通タグとは別に利用団体のGA4測定IDやGTMコンテナIDを設定できます。団体独自のIDを設定していなければ、団体が管理するGA4には寄付フォーム上の行動が入りません。

現行ヘルプでは、カード決済完了ページのURLに含まれるthanks_creditと、銀行振込申込完了ページのthanks_bankを条件にしてイベントを作成します。どちらもpage_viewをもとにした完了ページの到達計測です。カード決済と銀行振込を同じコンバージョンへまとめず、意味を分けておく必要があります。

この方法で寄付完了数は計測できますが、寄付金額は取得できません。GTMを設定しても、元のページやデータから渡されない金額を作ることはできないためです。弊社の支援では、完了ページの到達数をGA4やGoogle広告へつなぎ、実際の件数と金額はコングラントの支援履歴で照合する体制を整えています。

タグを設定した後の動作確認までを計測設計に含める

寄付ページのソースにGA4やGTMが見えていても、それだけで団体の寄付完了を計測できているとは判断できません。寄付システムが運営管理のために使う共通タグと、団体が管理する測定IDやコンテナIDは役割が異なります。

団体独自のタグを設定した後も、確認したいのはタグの読み込みだけではありません。団体サイトから寄付ページへ移ったときに同じ訪問としてつながり、カード決済と銀行振込で意図した完了イベントが発生するところまでテストします。Google広告へ取り込む場合は、どのイベントをメインのコンバージョンにするかも確認が必要です。

実務では、テスト用の寄付を行いながらGA4のリアルタイム表示やDebugViewを確認します。そのうえで、寄付システムの支援履歴と完了イベントの件数を照合します。設定欄へIDを入力した時点ではなく、数字の意味まで確かめて初めて運用に使える計測になります。

寄付遷移は中間コンバージョンとして扱う

団体サイトの寄付ボタンは計測しやすいため、寄付完了の代わりにしたくなります。しかし、このクリックから分かるのはコングラントへ移動した人数までです。入力途中の離脱や決済エラーは区別できません。

寄付遷移はdonation_startなどの中間行動としてGA4に残すと、どのページから寄付を検討したかを見る材料になります。一方、Google広告の入札に使うメインのコンバージョンへは設定せず、必要ならサブのコンバージョンとして観察します。クリックしやすい人へ広告が最適化されても、寄付者が増えたことにはならないためです。

Google Ad Grantsの公式案内には、確認ページを取得できない場合に行動ボタンのクリックを計測する方法も記載されています。これは計測手段がない場合の選択肢であり、寄付完了と同じ精度ではありません。弊社では、寄付ページへの遷移を寄付キャンペーンの主要コンバージョンにすることは推奨していません。まず寄付システム側の完了ページを計測できないか確認した方が良いです。

HubSpotでメール入力後の行動をつなぐには検証が必要

HubSpotを使えば、理屈の上では寄付フォームで入力されたメールアドレスと、その前後の閲覧行動をコンタクトへ結び付けられます。ただし、HubSpotを団体サイトへ入れただけでは、コングラント上の行動までは取得できません。

外部の寄付ページでHubSpotのコードを読み込める場合でも、コードが動くことと寄付者がコンタクトとして記録されることは別です。両方のドメインをまたぐ計測設定に加え、フォーム取得またはidentifyによってメールアドレスと閲覧者を結び付ける処理が必要になります。

寄付フォームの構造やContent Security Policy(CSP)によっては、一部のスクリプトや通信が制限される可能性もあります。専用のテスト用メールアドレスで寄付手続きを進め、HubSpotの管理画面でコンタクト作成と閲覧履歴の関連付けを確認するまでは、寄付者単位の計測が完成したとは扱わない方が安全です。

メールアドレスはHubSpotでコンタクトを識別する情報ですが、GA4へ送ってはいけません。GTMで両方を扱う場合も、GA4へ送るイベントやURL、UTMに氏名やメールアドレスが混ざらないように分けます。寄付者への説明と同意も、実装と同時に確認したいところです。

実務では三段階で計測体制を整える

完璧な計測を最初から目指すと、実装だけでなく保守も重くなります。寄付件数と広告規模に対して必要な精度を決め、次の順番で一段ずつ整える方が現実的です。

  1. 寄付システムの支援履歴を寄付件数と金額の正とし、カード決済、振込申込、着金、継続決済を分けます。
  2. 団体独自のGA4またはGTMを寄付システムへ設定し、団体サイトとのクロスドメインと完了ページの到達をテストします。
  3. 月次でGA4の完了ページ到達数と寄付システムの成立記録を照合し、必要性がある場合だけHubSpotによる寄付者単位の接続を小さく検証します。

最初に行うのは、新しいツールの契約ではありません。現在の寄付システムで団体独自のGA4またはGTMを設定できるか、完了ページを判別できるかを確認してみてください。コングラントを利用している場合は、thanks_creditthanks_bankを分けて計測するところから始めましょう。