Google広告の画面でクリック単価の見積もりが1ドルと表示されても、1ドルを設定すれば広告が表示されるという意味ではありません。見積もりは特定の条件から算出される参考値で、実際の検索広告オークションを予約する価格ではないためです。
最初に確認したいのは、その1ドルがどの画面の何という指標かです。ページ上部掲載の入札単価見積もりと、キーワードプランナーの平均クリック単価予測では意味が異なります。数字の出所を分けると、Ad Grantsで確認すべきことが見えてきます。
1ドルが何の数字かを先に確認する
「推奨CPC」は日常的に使われる言い方ですが、Google広告の一つの共通指標を指すとは限りません。画面名と列名、対象期間を一緒に記録してください。
| 表示される場所・指標 | 数字が示すもの | 保証しないこと |
|---|---|---|
| キーワード画面のページ上部掲載の入札単価見積もり | 完全一致検索でページ上部へ表示するために必要と推定される上限CPC | ページ上部または広告枠への掲載 |
| キーワードプランナーのページ上部掲載単価の範囲 | 過去の広告主の入札状況をもとにした低額帯・高額帯 | 自団体の広告が同額で表示されること |
| キーワードプランナーの予測平均CPC | 設定した条件で発生すると予測されるクリック費用の平均 | キーワードへ設定すべき上限CPC |
通貨も確認が必要です。管理画面が米ドル表示なら1ドルですが、日本円の別アカウントや外部ツールの数字と直接比較できません。地域、検索ネットワーク、期間が異なる見積もりも同じ条件ではありません。
ページ上部掲載の見積もりは掲載保証ではない
Googleは、ページ上部掲載の入札単価見積もりを、検索語句がキーワードと完全に一致した場合の目安と説明しています。キーワードの品質スコアと他の広告主との競争をもとに算出されます。
見積もりを満たしても、ページ上部に表示されない場合があることも公式情報に明記されています。実際の広告ランクは検索ごとに計算されます。検索した人の状況や広告品質に加えて、競争とアセットも変わるためです。1ドルという値は合格点ではありません。
キーワードのステータスに「最初のページの入札単価見積もりを下回る」と表示される場合も、広告が一度も表示されないという意味ではありません。キーワードは有効でも、最初のページへ表示されにくい状態を示します。ステータスの理由と実際の表示回数を分けて確認します。
キーワードプランナーの平均CPCは入札額ではない
キーワードプランナーの予測は、入札と予算だけで作られるものではありません。季節性や過去の広告品質も使い、将来の表示回数やクリックを推定します。
予測画面の平均CPCは、クリック一回あたりに支払うと見込まれる平均額です。キーワードへ設定する上限CPCとは異なります。予測の初期入札額も、以前のプランやアカウント内の手動入札広告グループ等をもとにするため、Ad Grantsで表示を保証する推奨額ではありません。
見積もりを比較するときは、キーワードだけをそろえてはいけません。地域と期間をそろえます。検索ネットワークとマッチタイプも同じ条件にしてください。似たキーワードを複数のキャンペーンに置いた場合は、キーワードプランナーの予測と実配信がずれる可能性もあります。
Ad Grantsでは品質フィルタを別に確認する
Ad Grantsには、通常の検索広告オークションへ参加する前に広告品質を確認する品質フィルタがあります。相対的に品質が低い広告は、入札を高くしてもオークションへ参加できない場合があります。
一方、GoogleはAd Grants広告を有料広告より一律に低い優先度へ置くとは説明していません。1ドルの見積もりと表示されない結果だけから、非営利枠が後回しにされたと判断することはできません。
管理画面の品質スコアも、入札額へ掛けて広告ランクを計算する数字ではありません。品質スコア6以上を合格点にする根拠もありません。推定クリック率と広告の関連性を確認します。リンク先の利便性と合わせ、改善箇所を探す診断情報として使ってください。
Smart Biddingでは1ドルを設定値として追わない
コンバージョン数の最大化などを使っている場合は、システムが検索ごとに入札を決めます。キーワード画面の1ドルを、そのまま設定する運用ではありません。
この場合に先に確認するのは、入札戦略が何を成果として使っているかです。寄付獲得なら寄付完了が主要なコンバージョンとして記録されているかを見ます。寄付ボタンのクリックだけを成果にすると、完了ではなくクリックしやすい検索へ配信が寄る可能性があります。
2ドル制限とSmart Biddingの関係は別の記事で扱っています。ここでは、手動入札の見積もりと自動入札の実際のクリック単価を同じ数字として比べないことが重要です。
表示実績と表示シェアから判断する
見積もりより優先したいのは、自団体の実際の配信結果です。対象キーワードの表示回数があるかを確認し、検索広告の表示シェアとランクによる損失率を追加します。
ランクによる損失率が大きい場合も、入札だけが原因とは限りません。広告文とリンク先を含む広告品質も対象です。表示シェアの数字が出ない場合は、検索量や対象期間が不足している可能性を先に確認します。
表示回数があるなら、検索語句と主要なコンバージョンも見ます。1ドルより高いクリックが発生しても、団体が必要とする申込や寄付につながっていれば、単価だけを理由に止める必要はありません。逆に安いクリックが増えても、活動と関係のない検索なら改善が必要です。
同じ条件で一つのキーワードを検証する
推奨値と実配信の差を調べるときは、アカウント全体を一度に変更しません。一つのキーワードを選び、次の条件を記録します。
- 1ドルが表示された画面、列名、確認日、通貨を記録します。
- 地域、期間、検索ネットワーク、マッチタイプを確認します。
- キーワードのステータスと広告プレビューの診断結果を確認します。
- 表示回数、表示シェア、ランクによる損失率を同じ期間で見ます。
- 入札戦略と主要なコンバージョンを確認します。
- 広告文、リンク先、入札設定のうち一つだけを変更します。
まず「1ドル」と表示されたセルの列名を確認してみてください。ページ上部掲載の見積もりか、予測平均CPCかを特定します。そこで初めて、設定値に使う数字なのか実績と比較する数字なのかを判断できます。