Google Ad Grantsの配信がパソコン(PC)に偏っていても、その割合だけでは原因を判断できません。表示回数とクリック数をデバイス別に分けます。コンバージョン数も並べ、どの段階から差が生じたかを確認します。
少なくとも現在公開されているGoogleの公式情報には、Ad GrantsをPCへ優先して配信するという仕様は示されていません。モバイル検索は商用性が高い、Ad Grantsは誤タップを避けているといった推測を、管理画面の数字より先に原因にしない方が良いです。
原因は四段階に分けます。検索需要と広告への反応を分け、リンク先と計測も確認します。端末別の理想比率を先に置かず、差が最初に生じる場所から確認します。
PCの比率だけでは原因を決められない
最初に確認するのは、PCのクリック比率ではなく、差が始まった指標です。同じ比率でも、表示されていない状態と、表示後にクリックされていない状態では修正する場所が異なります。
たとえば、PCとスマートフォンの表示回数に大きな差があれば、検索語句やオークション参加の段階から確認します。表示回数は近いのにクリック数だけPCへ偏るなら、広告への反応に差があります。クリック数は近くても完了数に差が出る場合は、リンク先やフォーム、計測を疑います。
PCの割合を下げること自体は成果ではありません。相談や寄付の完了数を増やしたいなら、端末構成ではなく、その完了までのどこで差が生じているかを調べます。
デバイス別に四段階の指標を並べる
Google広告の掲載結果は、表の分割機能からデバイス別に確認できます。同じキャンペーンと期間を使います。PC、スマートフォン、タブレットの数字を横に並べます。
| 確認する段階 | 主な指標 | 差が出たときに確認すること |
|---|---|---|
| 表示 | 表示回数 | 検索語句、対象地域、入札戦略、デバイス設定 |
| 反応 | クリック数、クリック率 | 検索意図と広告文、広告の表示位置 |
| 完了 | コンバージョン数、コンバージョン率 | リンク先の操作性、フォーム、計測タグ |
| 成立 | 寄付・申込システムの記録 | 広告上の完了と実際の成立件数のずれ |
一つのキャンペーンでも、端末によって検索語句の構成が異なる場合があります。アカウント全体の比率を見た後は、成果を判断したいキャンペーンへ範囲を狭めます。期間もそろえ、コンバージョン反映の遅れがある直近数日だけで結論を出さないようにします。
データが少ない場合は、率が大きく動きます。PCで2件、スマートフォンで0件という結果だけでは、端末の優劣を決められません。判断に足りる件数が得られるまで期間を広げ、実際の寄付や申込も照合します。
デバイス設定と入札戦略を先に確認する
表示回数からPCへ偏っている場合は、配信の仕組みを推測する前に設定を確認します。キャンペーンと広告グループの両方に、過去のデバイス調整が残っていることがあります。
Google広告では、特定のデバイスに対する入札単価の増減や除外を設定できます。100%の引き下げは、そのデバイスへ広告を表示しない設定です。引き継いだアカウントでは、意図しない除外がないかを最初に見た方が良いです。
Smart Biddingを利用している場合は、手動の引き上げ率がそのまま入札へ反映されるとは限りません。Googleは、デバイスや地域などをオークション時のシグナルとして使うと説明しています。時間帯も判断材料です。入札戦略によって扱える調整が異なるため、モバイルの比率を上げる目的だけで数値を変更しないようにします。
設定に問題がなければ、次に入札戦略の状態と主要なコンバージョンを確認します。誤った成果を入札目標にしていると、デバイス別の配信も正しい完了へ最適化されません。
同じ検索語句で端末差を確かめる
アカウント全体のPC比率には、端末ごとに異なる検索需要が混ざっています。同じ検索語句でも差があるのかを確認すると、需要の違いと配信の違いを分けやすくなります。
検索語句レポートを開き、表示回数や主要なコンバージョンが多い語句へ範囲を狭めます。デバイスで分割できる表では、同じ語句の表示回数とクリック率を比べます。コンバージョン率も確認します。検索語句レポートにはプライバシー基準により表示されない語句もあるため、一覧を検索全体とみなしてはいけません。
スマートフォンで関連する語句の表示回数が少ない場合は、検索されていない可能性と、オークションで表示機会を得られていない可能性が残ります。一方、同じ語句の表示回数があるのにクリック率が低いなら、広告文や表示された検索意図を確認します。
端末ごとに別のキャンペーンを作る前に、現在のキャンペーンで語句の構成を比べてください。構成の違いを残したまま分割すると、変更前後の差が端末によるものか、キーワードによるものか分かりにくくなります。
クリック後は実機で完了まで確認する
PCとスマートフォンのクリック数が近いのに、完了数だけPCへ偏る場合があります。この段階では、広告配信よりもリンク先と計測を確認します。
Ad Grantsのウェブサイトポリシーは、スマートフォンやタブレットでも正しく表示され、機能することを求めています。読み込み速度も品質の一部です。PageSpeed Insightsの点数だけで終わらせず、実際の端末で広告のリンク先から寄付・申込完了まで進みます。
確認するのは、ボタンを押せるかだけではありません。入力欄が画面からはみ出さないか、エラー内容を読めるか、外部システムへ移った後も完了できるかを見ます。完了後はGoogle広告とGA4へ主要なコンバージョンが記録されたかを確かめます。
実際の寄付や申込があるのにスマートフォンのコンバージョンが記録されないなら、配信を減らす前に計測を直します。誤ったデータを残したままSmart Biddingを続けると、本来の成果ではなく記録しやすい端末へ最適化される可能性があります。
Smart Biddingの偏りは成果設定と一緒に読む
Smart Biddingはデバイスを含む複数のシグナルから、各オークションの入札を最適化します。その結果として端末構成に差が出ることはありますが、PCへ寄った理由をデバイスという一つの信号だけで説明することはできません。
主要なコンバージョンに、ページ閲覧や寄付ボタンのクリックなど達成しやすい行動を混ぜると、入札が目指す成果も変わります。寄付が目的なら、可能な範囲で寄付完了を使います。外部システムのため完了計測に制約がある場合は、その限界を把握したうえで管理画面の件数を読みます。
デバイス別のコンバージョンが少ない時期は、率の差だけで入札戦略や除外を変更しません。まず計測が同じ条件で動くかを確認し、その後に十分な期間の成果を比べます。
表示から完了まで順番に切り分ける
PC偏重を調べるときは、原因候補を一度に直さず、差が始まった段階を一つずつ確認します。次の順番なら、変更と結果の関係を残せます。
- 同じキャンペーンと期間で、掲載結果をデバイス別に分割します。
- PC、スマートフォン、タブレットの表示回数、クリック数、コンバージョン数を並べます。
- デバイスの除外、入札単価調整、入札戦略の状態を確認します。
- 主な検索語句を端末別に比べ、需要と広告への反応を分けます。
- スマートフォンの実機でリンク先から完了まで進み、計測結果を確認します。
- 広告上の完了数を、寄付・申込システムの成立記録と照合します。
表示回数から差が出ていれば設定、検索語句、入札を確認します。クリック率から差が出ていれば広告文と検索意図を見ます。コンバージョン率から差が出ていれば、リンク先と計測を直します。
目標は、PCとスマートフォンの比率を同じにすることではありません。まず直近の掲載結果をデバイスで分割し、差が最初に現れた指標へ印を付けてみてください。そこが、次に確認する場所です。