Meta広告は、FacebookやInstagramなどに広告を掲載できるサービスです。NPOでも、活動報告をより多くの人へ届けたり、寄付やイベント参加を呼びかけたりするために利用できます。

SNSを更新している団体なら、力を入れて作った投稿を広告で後押しできます。日々の投稿に手が回らない団体でも、広告用の画像や文章を用意し、ホームページへ案内する方法があります。フォロワーが増えるのを待たずに、広告を始められます。

どちらの使い方でも、広告を見た人が団体や活動を理解できることが大切です。また、担当者が変わっても運用を続けられるように、ページや広告アカウントを団体で管理する準備も必要になります。

Meta広告とは?Facebook・Instagramで活動を知ってもらう

Meta広告では、FacebookやInstagramのフィード、ストーリーズ、リールなどに画像や動画を表示できます。団体をフォローしていない人にも、活動を知ってもらう機会をつくれます。

検索広告が「探している人」に応えるのに対し、SNSの広告では、投稿や動画を見ている人へ案内を届けます。団体名や社会課題を知らない人にも接点を持てるため、活動の認知を広げる使い方に向いています。

ただし、広告を見た人が最初から寄付や参加を考えているとは限りません。どのような活動なのか、なぜ支援が必要なのかが伝わることで、詳しく知りたいと思ってもらいやすくなります。

SNS運用を広告で後押しする

活動報告や募集の投稿を続けているなら、その内容を広告にも活用できます。通常の投稿で築いている関係を大切にしながら、まだ届いていない人へ発信を広げる使い方です。

投稿の宣伝で届ける範囲を広げる

FacebookやInstagramには、公開済みの投稿に予算を設定して広告として配信する「投稿の宣伝」があります。投稿の画像や文章をそのまま使って、活動報告やイベント案内をより多くの人へ届けられます。

活動の様子が伝わる写真付きの投稿や、参加方法をまとめた募集案内は、広告にも活用できます。すべての投稿に広告費をかけるより、特に知ってもらいたい内容を選ぶ方が予算を集中させられます。

既存の支援者に好評だった投稿でも、初めて団体を知る人には背景が伝わらないことがあります。団体内だけで通じる略称や説明の省略が多いと、広告で表示されても内容を理解しにくくなります。

広告マネージャでは目的に合わせて配信する

投稿の宣伝は手軽に始められますが、選べる設定には限りがあります。寄付や申込みを増やすために配信を調整したい場合は、Meta広告マネージャを使う方が適しています。

広告マネージャでは、広告の目的や配信先を設定し、複数の画像や文章を比較できます。既存の投稿を使う方法と、広告用に新しい内容を作る方法の両方があります。SNS用に作った内容を生かしながら、より詳しく配信を調整できます。

投稿への「いいね!」を増やすことと、寄付を増やすことでは、広告で目指す成果が異なります。反応が多い投稿を見つけるだけでなく、その先の行動まで含めて考えると、広告費をかける理由が明確になります。

日常的なSNS運用をせずに広告で集客する

毎日の投稿やフォロワーとの交流に十分な時間を割けなくても、広告用のコンテンツを作って配信できます。SNSアカウントを育てる方法とは別に、必要な案内を広告として届ける方法です。

広告からホームページへ直接案内する

イベントの参加者を募集するなら、開催内容が伝わる画像と文章を広告にし、詳細や申込み方法を掲載したページへ案内できます。日々の投稿を増やす代わりに、募集に必要な広告とホームページへ制作の力を集中させられます。

寄付募集でも、広告で活動を知ってもらい、ホームページで支援が必要な理由や寄付金の使い道を伝える設計が考えられます。広告だけで説明を終えようとせず、リンク先と役割を分ける方が伝えやすくなります。

この方法なら、通常の投稿を大量に用意する必要はありません。ただし、広告の反応を見て内容を直したり、募集終了に合わせて配信を止めたりする運用は必要です。投稿の負担は減らせても、広告を出したまま放置できるわけではありません。

投稿頻度よりも団体の情報と連絡先を整える

日常的なSNS運用をしない場合も、広告主として使うFacebookページやInstagramのビジネスプロフィールなどは必要です。広告の作成方法や掲載先に合わせて、団体のものを関連付けて使います。

広告からプロフィールを見に来る人もいます。団体概要やホームページへのリンクがあり、何をしている団体なのか分かる状態なら、詳しい情報へ進めます。更新されていない連絡先や終了した募集だけが目立つ状態は避けたいところです。

また、広告に寄せられるコメントや問い合わせへの対応も必要です。広告で接点を増やしても、その後の連絡に応じられなければ参加や相談につながりません。毎日投稿する体制と、連絡を受け止める体制は分けて考えた方が良いです。

ビジネスポートフォリオで団体として管理する

法人として広告を運用するなら、団体のビジネスポートフォリオで管理することをおすすめします。Facebookページや広告アカウントをまとめ、誰が何を操作できるかを管理する仕組みです。

個人のログインと団体のアカウントを分ける

Facebookプロフィールで業務にアクセスする場合も、個人としてログインすることと、団体の広告を管理することは別です。担当者のログイン情報を全員で共有するのではなく、それぞれに必要な権限を割り当てます。Metaでは、組織が管理する「管理対象のMetaアカウント」でアクセスする方法も用意されています。

ログイン用のアカウントと、そこで操作するページや広告アカウントには、次のような違いがあります。

名称主な役割
Facebookプロフィールなどのログイン用アカウント操作する本人としてアクセスする
Facebookページ・Instagramアカウント団体の情報や投稿を公開し、広告の発信元になる
広告アカウント広告の配信や費用を管理する
ビジネスポートフォリオページや広告アカウントをまとめ、管理権限を割り当てる

Meta Business Suiteは、これらを管理するためのツールです。Facebookページに投稿できる人が、ビジネスポートフォリオ全体の管理権限まで持っているとは限りません。

管理者の交代と外部への委託に備える

団体内で全権限を持つ人が一人しかいないと、その人の退職やログインの問題によって管理が滞るおそれがあります。Metaも、全権限を持つアクティブな利用者を2名確保することを推奨しています。広く配る権限ではなく、責任を持って管理する人に限ることが大切です。

外部の広告会社には、団体のページや広告アカウントへのアクセスをパートナーとして共有できます。団体側に管理権限を残し、委託先には必要な業務の権限を渡す形なら、契約終了後も団体で運用を続けやすくなります。

すでに外部へ任せている場合は、団体と委託先のどちらのポートフォリオに広告アカウントがあるかが重要です。広告を操作できることと、そのアカウントを団体が所有していることは同じではありません。新しく用意する段階で、契約終了後の扱いまで決めておくと引き継ぎの問題を減らせます。

支払いとセキュリティも団体で把握する

広告費の支払い方法と請求情報は、経理担当者も把握できる形にしておくと管理しやすくなります。担当者個人のカードで立て替える場合も、退職やカード変更の際に支払いが止まらないよう、団体内で扱いを決める必要があります。

管理者のログインを守るためには、パスキーや二段階認証が重要です。異動や退職の際は後任へ権限を渡し、不要になったアクセスを残さない運用が安全です。投稿担当者やボランティア全員に、団体全体の設定を変更できる権限を渡す必要はありません。

広告費と成果の考え方

Meta広告は、予算を設定して配信する有料の広告です。広告費のほかに、画像や動画の制作、配信の調整にかかる費用や時間も含めて考えます。

予算と期間を決めて配信する

予算には1日単位で設定する方法と、期間全体の通算予算を設定する方法があります。期間が決まった募集では、いつまでにいくら使うのかを決めておくと、団体内でも費用を共有しやすくなります。

広告費をかければ、その分だけ寄付や参加が増えるとは限りません。最初は団体が負担できる範囲で配信し、広告からどの程度の反響があるかを見ながら続け方を考えるのが良いかと思います。

iPhoneのアプリ内から投稿を宣伝する場合などは、Appleのサービス料が加算されることがあります。広告の予算とは別の費用なので、申し込む経路によって支払い総額が変わる点には注意が必要です。ブラウザからの利用も選択肢になります。

「いいね!」と寄付・申込みを分けて見る

活動を知ってもらう広告なら、届いた人数や動画の視聴などが参考になります。寄付やイベント参加が目的なら、反応の数に加えて実際の寄付・申込みにつながったかが重要です。

ホームページの訪問数だけを見ていると、その後の行動は分かりません。完了を計測できる仕組みがあれば、広告の改善に生かせます。外部の寄付サービスを使っている場合は、計測できる範囲がサービスによって異なります。

リンク先の説明が足りなかったり、申込みづらかったりして、行動につながらないこともあります。広告とホームページを一緒に改善できる体制があると、集めた反応を次の募集にも生かしやすくなります。

NPOが広告を出すときの表現と運用の注意点

普段の投稿として公開できる内容でも、広告には別途審査があります。支援活動の案内でも、広告を見る人の健康状態や経済状況を決めつける表現には注意が必要です。

たとえば「あなたは生活費に困っていますね」と呼びかけると、相手の経済状況を知っているかのような表現になります。「生活に関する相談窓口を開設しています」のように、提供する支援を説明する方が適切です。支援を必要とする人へ届けたいという目的と、その人の事情を推測する表現は分けて考えます。

社会問題や政治に関する広告には、配信する国や地域、内容に応じた追加のルールもあります。通常の活動紹介と同じ扱いになるとは限らず、認証などが必要になる場合があります。

支援対象者の写真や体験談を使うときは、広告にも使用することを伝え、本人と掲載範囲を相談することが大切です。普段の活動報告よりも広く届く可能性があるため、本人が想定している使い方と違わないか配慮が必要です。

SNSの更新に時間を割けないことだけを理由に、Meta広告を諦める必要はありません。投稿を続けている団体はその発信を広げ、投稿に手が回らない団体は広告とホームページへ力を集中させることもできます。団体の体制に合う方法で、活動を知ってもらう機会を増やしていくのが良いかと思います。

広告をきっかけに届いた問い合わせに応じたり、現場から発信の素材を集めたりする役割も成果を支えます。体制づくりについては、広報の情報整理と発信体制で詳しく説明しています。