Google広告は、NPOでも利用できるインターネット広告のサービスです。Google検索で相談先を探している人に案内を出したり、YouTubeの動画で活動を知ってもらったりと、目的に応じた使い方ができます。

寄付を募る広告と、支援を必要とする人へ相談窓口を知らせる広告では、届ける相手も伝える内容も異なります。同じ団体の広告でも、何を実現したいかによって適した掲載先は変わります。

Google広告は基本的に広告費を支払って利用しますが、対象となる非営利団体にはGoogle Ad Grants(アドグランツ)という助成制度もあります。無料で使える範囲を含めて全体像を知ると、限られた広報予算をどこへ使うか考えやすくなります。

Google広告とは?NPOでも利用できる広告サービス

Google広告では、Google検索やYouTubeに加えて、提携するウェブサイトやアプリにも広告を掲載できます。企業の商品販売だけでなく、NPOの寄付募集や活動への参加案内にも活用できます。

検索結果や動画の中で目にする広告の一つひとつは、広告主が目的と予算を設定して配信しています。その管理単位が「キャンペーン」です。一つの団体でも、寄付募集とイベント告知ではキャンペーンを分け、それぞれに合う広告や予算を設定できます。

大きく分けると、何かを探している人に応える広告と、まだ探していない人に関心を持ってもらう広告があります。前者の代表が検索広告、後者の代表が画像や動画の広告です。この違いが、目的に合う方法を選ぶ手掛かりになります。

Google広告の主な種類と掲載先

広告には文字で伝えるものもあれば、画像や動画で伝えるものもあります。まずは、どこで見てもらう広告なのかを整理すると、それぞれの役割が分かります。

主な広告主な掲載先NPOでの活用例
検索広告Googleの検索結果など相談先や寄付先を探している人へ案内する
ディスプレイ広告提携ウェブサイトやアプリなど画像でイベントや活動を知ってもらう
YouTube広告YouTubeの動画視聴画面やフィードなど活動現場や社会課題を映像で伝える
ショッピング広告Googleの検索結果やショッピングタブなど販売する商品の画像や価格を見せる

同じ掲載先に複数の方法で広告を出せることもあります。掲載先の種類と、管理画面で選ぶキャンペーンの種類は、一対一ではありません。

検索広告は情報を探している人へ届ける

検索広告は、検索した言葉に関係する案内を検索結果へ表示する広告です。「地域名 子育て相談」のように、利用したいサービスが具体的な人へ届けられます。

団体名を知らない人でも、困りごとや関心のあるテーマからホームページへ訪問できます。一方、ほとんど検索されていない言葉では、広告を出す機会も限られます。検索広告は、関心のない人へ一斉に告知する広告とは異なります。

検索広告を無料で利用できる助成制度が、アドグランツです。対象団体には月額最大1万米ドルの利用枠が提供されますが、通常の有料配信とは掲載機会が異なります。Google広告のすべての掲載先を無料で使える制度ではありません。対象や仕組みは、Google Ad Grantsとは?で詳しく説明しています。

ディスプレイ広告は画像で関心を引く

ディスプレイ広告は、ウェブサイトやアプリを見ている人へ画像などを表示する広告です。イベントの写真や短いメッセージを使い、団体や活動を知るきっかけをつくれます。

見ている人が、その場で寄付や参加を考えているとは限りません。画像だけで申込みを求めるより、どのような活動なのかを伝えるページへ案内した方が、内容を理解してもらいやすい場合があります。

2026年9月時点では、Googleはディスプレイ広告キャンペーンをデマンドジェネレーションへ移行する方針を案内しています。画像広告がなくなるという意味ではなく、配信を管理するキャンペーンの仕組みが変わります。

YouTube広告は活動の様子を動画で伝える

YouTube広告では、動画の再生前後や途中、フィードなどに広告を表示できます。活動現場の様子や支援が必要な背景を、映像と音声で伝えられる点が特徴です。

文章だけでは伝わりにくい雰囲気や取り組みを紹介するのに向いています。ただし、団体紹介の長い動画をそのまま流せば伝わるとは限りません。初めて見る人に関心を持ってもらえる内容と長さに整える必要があります。

P-MAXなどは複数の掲載先へ配信する

P-MAXは、検索やYouTubeなど複数の掲載先へ広告を配信するキャンペーンです。GoogleのAIが、寄付完了や申込みなどの目標に合わせて配信を最適化します。「P-MAX」という広告枠があるわけではありません。

デマンドジェネレーションも複数の掲載先を使うキャンペーンですが、画像や動画で関心を引き、行動を促すことに適しています。YouTubeやDiscover、Gmailなどで広告を届けられます。自動化によって配信の作業を減らせても、伝える内容や成果の設定まで団体に代わって決めてくれるわけではありません。

商品販売やアプリの利用を促す広告

商品を販売する団体には、商品情報を登録して使うショッピング広告も選択肢になります。アプリの利用者を増やすためのアプリキャンペーンもありますが、すべての種類を使う必要はありません。団体の活動と広告の目的に合うものを選びます。

NPOの活動に合わせたGoogle広告の活用

NPOの広告は、寄付集めだけを目的とするものではありません。誰に何を届けたいかによって、広告の内容と成果の捉え方が変わります。

寄付募集と活動の認知

寄付先を探している人には検索広告が候補になります。社会課題をまだ知らない人に、関心を持ってもらいたい場合は、画像や動画も活用できます。

広告を見て初めて団体を知った人に、すぐ寄付を決めてもらうのは簡単ではありません。活動内容や寄付金の使い道を知り、納得して支援できるホームページが必要です。動画の視聴が増えたことと寄付が増えたことは、分けて評価する必要があります。

相談窓口とイベントの案内

相談先を探す人には、利用できる地域や相談内容が分かる広告が役立ちます。寄付者向けの説明と一緒にするより、相談したい人が知りたい情報へ直接案内した方が伝わりやすくなります。

イベントでは、すでに関連する催しを探している人には検索広告、まだ開催を知らない人には画像や動画による告知が候補です。開催直前の告知では、興味を持っても予定が合わず参加できない人もいます。参加を検討できる余裕を持って知らせることが大切です。

収益事業の集客

研修やサービスの申込みを増やしたい場合にも、Google広告を利用できます。NPOが運営していても、同じサービスを提供する企業の広告と競うことになります。

この場合は、申込み件数だけでなく広告費を負担して事業を続けられるかが重要です。売上の全額を広告へ使えるわけではなく、サービス提供にかかる費用もあります。寄付募集とは分けて採算を考えた方が良いです。

Google広告の費用と予算の考え方

広告費を支払って配信する場合、費用は広告の形式や課金方式、競争状況によって変わります。広告費と運用・制作の費用を合わせて考える必要があります。

クリックや表示、動画視聴に応じて費用がかかる

検索広告では、広告がクリックされたときに費用が発生する方式が基本です。画像や動画の広告では、表示回数や動画視聴などを基準に費用が発生する方式もあります。

問い合わせを増やすために広告を配信していても、問い合わせの有無にかかわらず、クリックなどに応じて広告費が発生します。配信の目標と課金の仕組みは別です。また、広告費を支払えば必ず希望する場所に表示されるわけではなく、入札や広告の品質などが掲載に影響します。

1日の平均予算と月額の上限

通常の有料配信では、キャンペーンごとに1日の平均予算を設定する方法があります。「平均」なので、毎日同じ金額を使う設定ではありません。

多くのキャンペーンでは、1日の費用上限は平均予算の2倍、月額上限は30.4倍です。たとえば月を通じて1日の平均予算を1,000円に据え置いた場合、請求額の上限は1日2,000円、月額30,400円になります。月途中で予算を変える場合や別の予算方式では計算が変わります。

実際の予算は、広告の目的や団体が負担できる金額に合わせて決めます。予算を細かく分けすぎると、それぞれの広告で反応を判断するためのデータが集まりにくくなります。限られた予算なら、目的を絞って始める方が改善しやすくなります。

運用と制作にも費用や時間が必要

Googleへ支払う広告費のほかに、広告画像や動画、ホームページの制作費がかかることがあります。外部へ運用を依頼する場合は、運用手数料も別に考えます。

団体内で対応すれば外注費は抑えられますが、担当者の作業時間は必要です。配信設定だけでなく、広告の反応に合わせて内容を変えたり、ホームページを更新したりする体制も成果に関わります。

Google広告を始めるための準備

広告を始めるときは、どの広告を使うかと同時に、訪問した人へ何を伝えるかを考える必要があります。NPOがGoogle広告を始めるなら、まずはアドグランツの活用をおすすめします。

ホームページと成果計測を整える

広告のリンク先では、広告で紹介した内容を詳しく伝える必要があります。相談の広告なら利用条件や連絡方法、寄付の広告なら活動内容と支援の方法が分かることで、次の行動へ進みやすくなります。

寄付や申込みの完了を計測できれば、広告をクリックした人数だけでなく、実際に行動へつながったかを判断できます。外部の寄付システムを使っている場合は、ホームページへの訪問までしか分からないこともあるため、計測できる範囲が運用の前提になります。

広告には審査があり、内容やリンク先によっては掲載できない場合もあります。制作や更新を担当する人と広告担当者が連絡を取れる体制があれば、修正や改善を進めやすくなります。

アドグランツからGoogle広告の運用を始める

アドグランツでは、広告費の負担を抑えながら運用の経験を積めます。活動に関係する検索に合わせてホームページへ案内し、どの情報に反応があり、寄付や相談へつながるのかを確かめられます。

無料でも運用の知識や作業は必要ですが、広告とホームページを改善する経験は、その後の広報にも役立ちます。アドグランツはGoogle for Nonprofitsから申請し、承認後に提供される専用の広告アカウントを使います。通常の有料広告アカウントを先に作って申請するものではありません。

アドグランツで必要な掲載機会と成果を得られるなら、無理に広告費を追加する必要はありません。競争の強い検索で掲載機会が足りないときや、画像・動画で広く知らせたいときには、Google広告の有料配信で補うことができます。ただし、助成枠で得られた成果が、そのまま有料配信でも再現されるとは限りません。

詳しい比較は、アドグランツと有料広告の使い分けで説明しています。Google広告は、団体の目的に応じて使う範囲を選べる広告サービスです。最初からすべての掲載先へ広げるより、伝えたい相手に合う方法から始めるのが良いかと思います。